PATTERN 03 上級

9施設をまとめて申請し、
実質補助率70%超・4.8億円の事業を動かす

東北地方・人口約5万人の市が、市内公共施設9棟への脱炭素設備整備を一括で補助金申請。単独施設では通らない規模をまとめることで実現したモデルケースです。

9棟
一括申請した施設数
4.8億円
総事業費(CAPEX)
70%超
補助率(複数補助金の組み合わせ)
1.4億円
市の実質負担

自治体プロフィール

所在地東北地方(内陸・中規模市)
人口約5.1万人(やや減少傾向)
担当部署環境課(主担)・危機管理課・施設管理課・財政課(横断チーム)
地域特性脱炭素先行地域への応募を検討していたが規模要件が課題だった。市内に製造業が多く、産業部門の排出量削減も市の課題。
背景地球温暖化対策実行計画(区域施策編)を2023年に策定済み。計画の具体策として再エネ設備整備を盛り込んでいた。

課題・背景

この市が「まとめ申請」を選んだ直接の理由は、単独施設での補助金申請を繰り返しても補助率や事業規模の上限が低く、「やっている感」は出るが脱炭素計画の数値目標には届かないという課題だった。

環境省の「重点対策加速化事業」は計画書に基づく複数施設の包括的な整備に対して補助が厚くなる傾向があり、担当者が「多くの施設をまとめて提案したほうが補助額の規模が上がるのでは」という仮説を持ったことが出発点だった。

気づきのポイント:「1施設を毎年1件ずつ申請する」より「9施設を1回でまとめて申請する」方が、交付金の採択審査での評価が高くなる場合がある。「市として一体的に取り組む計画性」が評価されるためだ。庁内調整が増えるが、その分得られる補助額も大きくなる。

整備した9施設の概要

市役所本庁舎太陽光80kW+蓄電池200kWh
市民体育館太陽光60kW+蓄電池150kWh
中学校A(指定避難所)太陽光50kW+蓄電池150kWh
中学校B(指定避難所)太陽光50kW+蓄電池150kWh
図書館・生涯学習センター太陽光40kW+蓄電池100kWh
老人福祉センター太陽光30kW+蓄電池100kWh
コミュニティセンター1太陽光30kW+蓄電池80kWh
コミュニティセンター2太陽光30kW+蓄電池80kWh
消防署太陽光60kW+蓄電池200kWh

合計:太陽光発電 約430kW / 蓄電池(BESS) 合計1,210kWh

採用した補助金の組み合わせ

補助金①地域脱炭素推進交付金(重点対策加速化事業) — 環境省。太陽光発電・蓄電池の設置に対して50%程度。
補助金②防災・減災・国土強靱化交付金 — 指定避難所4棟(体育館・中学校2棟・消防署)の蓄電池分に重点的に活用。補助率75%。
組み合わせ効果施設ごとに補助金を最適に割り当てることで、全体の補助率を実質70%超に引き上げた。同一設備への二重交付は不可のため、施設単位での分離管理が必要だった。
留意事項補助金ごとに申請書類・交付条件・報告様式が異なるため、管理コストが増加。外部のコンサルタントを活用して申請書類の作成と補助金管理を分担した。

プロジェクト全体のタイムライン

Year 1 / 4〜6月
庁内横断チームの結成・全体計画の策定
環境課が主担。財政課・施設管理課・危機管理課が参加する定例会議を設置
Year 1 / 7〜8月
全9施設の現況調査・設計(設計事務所に委託)
屋根荷重・受電容量・系統連系可否を一括調査
Year 1 / 9月
次年度予算要求・補助金申請に向けた方針決定
Year 2 / 4〜5月
2種類の補助金を同時並行で申請
申請書類の量が膨大。外部コンサルタントとの分担が必須だった
Year 2 / 9〜10月
両補助金の採択・交付決定
Year 2〜3 / 11月〜翌年3月
9施設の順次施工(フェーズ分けで実施)
年度内完工を目指し、3フェーズに分けて施工

担当者の声

「正直、当初は担当者2人でできる量ではないと思っていました。でも外部のコンサルに入ってもらったことで、申請書類の作成と補助金ごとの条件管理を分担できた。庁内は『どの施設に何の補助金を当てるか』の判断に集中できたのが大きかったです。」

環境課 担当者(実際の声をもとに再構成)

「単独施設だと予算規模が小さすぎて、施工業者への発注でも交渉力がありませんでした。9施設まとめると機器の一括購入で単価が下がる。このスケールメリットも最終的な実質負担額に効いてきました。」

施設管理課 担当者(実際の声をもとに再構成)

この事例から学べるポイント

⚠️ このパターンの注意点:庁内で「まとめて動かせる人」がいることが前提条件です。横断調整が苦手な組織や、担当者がすでに兼務で手一杯な場合は、まずパターン01や02から始めることを推奨します。

この事例に近い実際の自治体・参考情報

本ページは実際の取り組みをもとに再構成したモデルケースです。以下に、複数施設まとめ申請と同様のアプローチで動いている実際の自治体・公式情報源を掲載します。

山形県 米沢市・飯豊町 | 脱炭素先行地域(第6回選定)
米沢市・飯豊町:25企業・団体が参画する地域一体型脱炭素
山形県米沢市・飯豊町が環境省の脱炭素先行地域(第6回)に選定。複数の公共施設・産業施設を含む地域全体での包括的な脱炭素計画が認定されました。複数施設を一体的な計画として提案した事例です。
脱炭素先行地域一覧(環境省)で確認 → env.go.jp
環境省
脱炭素先行地域 全国102地域一覧(環境省ポータル)
環境省が公表する脱炭素先行地域の全一覧。各地域の計画書・取組概要が公開されており、複数施設を一括整備した事例を地域・規模別に確認できます。
公式サイトを見る → env.go.jp
環境省
地域脱炭素推進交付金(重点対策加速化事業) 詳細
複数施設まとめ申請に最も適した補助金の詳細情報。地球温暖化対策実行計画策定済みの自治体が対象で、市全体で複数施設を一体的に整備する計画が高く評価されます。
公式サイトを見る → env.go.jp

※ 個別自治体の詳細事例・類似事例の紹介をご希望の場合は、お問い合わせください。

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