PATTERN 02 中級

PPAで初期費用ゼロのまま
公共施設3棟の電気代を年間280万円削減

関東地方・人口約8万人の市が、PPA(電力購入契約)を活用して市役所・図書館・文化センターに屋根置き太陽光発電を設置したモデルケースです。

0円
初期費用(市の負担)
280万円/年
電気代削減額
18%
電気代削減率
65t-CO₂/年
CO₂削減量

自治体プロフィール

所在地関東地方(内陸部)
人口約8.2万人(横ばい)
担当部署環境課(主担)・財政課・施設管理課(連携)
地域特性日照時間が比較的長い内陸部。脱炭素政策への取り組みを市の重点事業に位置づけていた。
既存設備市役所本庁舎・図書館・文化センターの3棟。電気代は3棟合計で年間約1,560万円。

課題・背景

市は「2030年度までに市有施設のCO₂排出量30%削減」を環境基本計画に掲げていたが、財政的な制約から大型の設備投資は困難な状況だった。担当者は再エネ設備の導入を検討するものの、毎回「初期費用が出ない」で議論が止まっていた。

PPA(電力購入契約)スキームの情報を得たのは、環境省が自治体向けに発行した手引き書(令和6年3月改訂版)がきっかけ。「事業者が設備を設置・所有し、自治体は発電した電力を購入するだけ」という仕組みに財政課も前向きな反応を示した。

財政課を動かした一言:担当者が「市の予算計上はゼロです。電気代が下がる仕組みです」と伝えた瞬間に財政課の態度が変わった、という事例は全国で多数報告されている。PPAの最大の強みは「公共施設に費用をかけずに再エネを入れられる」点にある。

採用したスキーム・導入内容

スキームオンサイトPPA(太陽光自家消費型)
PPA事業者大手電力系PPA事業者(入札で選定)
設置内容屋根置き太陽光発電 計120kW(市役所50kW・図書館40kW・文化センター30kW)
契約期間20年間(事業者がパネルを所有。期間満了後は市に無償譲渡)
電力単価市が支払う発電電力の単価を契約期間中固定(電力会社の市場価格より低い水準)
市の費用負担初期費用ゼロ。維持管理費もPPA事業者が負担。市は購入電力分のみ支払い。

⚠️ PPAの落とし穴:PPA事業者の選定入札の設計が成否を左右します。評価基準に「電力単価の水準・事業者の財務安定性・撤退時の対応方針」を入れないと、安値提案で落札した事業者が数年後に撤退するリスクがあります。この市では法務担当と連携して契約条件を精査しました。

申請〜完工までのタイムライン

前年6〜8月
PPA事業者への情報収集・スキーム勉強
環境省手引き書の読み込み・他市への聞き取り
前年9月
「予算計上ゼロ」で予算要求に計上
技術的な説明よりも「財政インパクトなし・電気代削減」の説明を優先
当年4月〜6月
PPA事業者の選定入札(公募型プロポーザル)
評価基準の設計に2ヶ月かけた。法務・財政・施設管理が参加する選定委員会を設置
当年7〜9月
設計・施工計画の確定
屋根の荷重確認・系統連系の事前協議
当年10月〜翌年2月
設置工事・系統連系
市の施設運営を止めないよう週末・休館日を中心に施工
翌年3月
運転開始・電気代削減効果の計測開始

担当者の声

「PPA事業者の選定が一番難しかったです。安い電力単価を提示してくれた事業者が本当に20年後も存在するかどうか、財務諸表を読み込んで判断しました。このプロセスは担当者だけでは難しく、外部の専門家のサポートが必要だったと思います。」

環境課 担当者(実際の声をもとに再構成)

「最初に財政課への説明で詰まったのは『20年後に設備はどうなるの?』という質問でした。契約満了後の無償譲渡条件をしっかり契約書に入れたことで、20年後のリスクを説明できるようになりました。」

施設管理課 担当者(実際の声をもとに再構成)

この事例から学べるポイント

この事例に近い実際の事例・参考情報

本ページは実際の取り組みをもとに再構成したモデルケースです。以下に、PPA導入を実施している実際の自治体と公式情報源を掲載します。

実際の自治体事例 | 長野県 諏訪市
公共施設への太陽光発電設備導入事例(PPA方式)(諏訪市)
諏訪市役所本庁舎と市内中学校にPPA方式で太陽光発電設備を導入した事例。初期費用ゼロでの再エネ設備導入の公共施設モデルとして諏訪市公式サイトで情報公開されています。
諏訪市公式サイトで確認 → city.suwa.lg.jp
実際の自治体事例 | 東京都 世田谷区
公共施設における太陽光発電設備等の設置事業(PPA事業)(世田谷区)
避難所に指定された区立中学校複数施設にPPA方式で太陽光発電と蓄電池を導入した事例。電気代削減・CO₂削減・BCPを組み合わせた取り組みとして公式情報が公開されています。
世田谷区公式サイトで確認 → city.setagaya.lg.jp
環境省
地域脱炭素プラットフォーム — PPA事業者とのマッチング
PPA事業者・太陽光設置事業者と自治体を結びつけるマッチングプラットフォーム。「PPA事業者を探したい」という段階での活用にも適しています。
公式サイトを見る → env.go.jp

※ 個別自治体の事例詳細については、お問い合わせください。BSRIが把握している類似事例をご紹介できる場合があります。

PPAの適用可能性を確認したい方へ

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